気候マーチに来てくれる海外の仲間に、案内動画を6言語で送れる

たとえば、こんな夜

Fridays For Future Japan福岡支部の共同代表として、月1回ほど海外の気候活動家から「日本のマーチに参加したい」という連絡が入る――そんな立場にあるなら共感できるかもしれません。集合場所、持ち物、警察対応の流れ、危険時の連絡先。これを毎回個別の英語メールで送りながら、「ちゃんと伝わっているか確信が持てない」という不安が残る夜があります。

こんなふうに使える

Synthesiaの翻訳機能を使うと、1本収録した案内動画を複数言語に展開できます。集合場所や注意事項を、相手の母語の動画で渡せます。国際FFFの議事録案内など、文章ではなく動画で残せます。

想像してみると

日本語と英語の台本を自分で書き、Synthesiaのストックアバターで動画化します。表情がニュートラルなアバターを選び、字幕を強調する設計に。英語版を元動画にして、翻訳機能でタガログ語、タイ語、ポルトガル語、ドイツ語、フランス語、韓国語の6言語に展開できます。

それぞれの動画をDiscordで仲間に送り、母語のネイティブに「内容が正確に伝わっているか」を必ずチェックしてもらう。タイから来てくれた友人が、動画を見て「日本語と英語のメールだけだったら、たぶん集合場所を間違えていた」と話してくれる――そんなフィードバックが返ってきます。地下街の動線を母語で説明する動画があることで、当日の不安が減る、と。「言語の壁で命や安全に届かなかったものを届ける」という線引きが、AIを使う罪悪感を少しだけ整理してくれます。

この記事でできること

  • 1本収録した案内動画を、Synthesiaの翻訳機能で複数言語に展開できる
  • 集合場所や注意事項を、相手の母語の動画で渡せる
  • 国際FFFの議事録案内など、文章ではなく動画で残せる

使うもの: Synthesia(Creatorプラン $79/月、Translation機能あり) かかる時間: 案内動画1本の収録+翻訳で約90分 必要なスキル: 普段ClaudeやDeepLで多言語のやりとりをしているなら問題なくできる

英語1言語では届かないことがある

国際FFFのオンライン会議で知り合う活動家のなかには、英語が第二言語の人も多くいます。フィリピン、タイ、ブラジル、ドイツ、フランス、韓国。福岡の気候マーチに合わせて来日したいと連絡をくれた友人に、英語で「集合は警固公園、12時30分」と書いたメールが、ちゃんと伝わっているか確信が持てない――そんな夜があります。

特に「警察が動いた時の連絡先」「危険時に離脱する場所」。安全に関わる情報を、相手の英語スキルに依存させたくない。けれど、一人で全言語のメールを書くのは不可能。データセンターの電力消費(REF-greenpeace-ai-emissions-2025の議論)を考えると、AIを安易に使うことには毎日葛藤があります。それでも、安全情報を確実に届けるためなら、限定的に使う価値はあるかもしれない――そう判断してSynthesiaを試せます。

手順:1本の動画を6言語に展開する

ステップ1:日本語と英語の台本を自分で書く

最初の台本は自分で書きます。Claudeには英訳の補助だけ頼んで、思想と内容は自分の言葉のまま。集合場所(警固公園)、時間、持ち物(水・布マスク・脱水対策)、警察対応(指示には従う、SNS発信は許可なくしない)、緊急離脱場所(天神地下街への動線)。これを日本語と英語の両方で書きます。

ステップ2:Synthesiaのストックアバターで動画化

自分の顔のPersonal Avatarは使わない選択肢があります。気候活動家としてのSNS発信でフォロワーがいる場合、顔と声は既にネット上で広く拡散している。AIアバターで安全情報を発信して「フェイク動画かもしれない」と疑われるリスクを避けたいからです。

代わりに、表情がニュートラルなストックアバターを選んで、字幕を強調する設計にする運用がおすすめ。Synthesiaの公式情報では140以上の言語に対応していて、Translation機能で1本の動画を多言語展開できるので、まず日本語版と英語版を作成します。

ステップ3:翻訳機能で6言語に展開

英語版を元動画にして、翻訳機能でタガログ語、タイ語、ポルトガル語、ドイツ語、フランス語、韓国語の6言語に展開できます。アバターの口元の動きも各言語に合わせて自動で調整されると公式情報にあり、実際に出来上がる動画は不自然さが少ない印象があります。

それぞれの動画をDiscordで仲間に送り、母語のネイティブに「内容が正確に伝わっているか」を必ずチェックしてもらう。これは絶対に省略してはいけないステップです。

つまずきやすい:翻訳の正確さは、自分では検証できない

タガログ語の動画を送ったフィリピンの活動家から「警察対応の部分、ニュアンスが少し違う。“指示には従う” が “言われたとおりにする” のように受動的に聞こえる」というフィードバックが返ってくる場面があります。

英語の “follow police instructions” が、タガログ語に翻訳される過程で、活動家としての主体性が抜け落ちる方向にずれた、というパターンです。彼女と一緒に、元の英語を “cooperate with police while maintaining your rights” に書き直して、再翻訳する流れになります。

AIの翻訳は便利だけれど、活動家としての言葉の重みは、ネイティブの仲間と一緒に確認する必要がある。これは絶対に自動化できない部分です。

学び:「届かなかった情報が届く」という重さ

一番大きいのは、これまで言語の壁で諦めていた「安全情報を母語で渡す」が、初めて実現できることです。

タイから来てくれた友人が、動画を見て「日本語と英語のメールだけだったら、たぶん集合場所を間違えていた」と話してくれる――そんなフィードバックが返ってきます。地下街の動線を母語で説明する動画があることで、当日の不安が減る、と。

「効率化のためにAIを使う」のではなく、「言語の壁で命や安全に届かなかったものを届ける」ために使う。この線引きが自分の中で決まると、Synthesiaを使うことへの罪悪感は、少しだけ整理できます。電力消費の問題と向き合う気持ちは変わりませんが、「使うなら、本当に必要な場面で、最小限の動画を、ネイティブのチェック付きで」というルールを作って続けるのが現実的です。

次に試したい

  • 国際FFF月例会議の議事録動画化: 英語の文字議事録を、参加国の母語動画にして共有
  • 海外活動家の福岡滞在ガイド: 地下鉄の使い方、薬局・病院の場所、緊急時連絡先
  • マーチの事後報告動画: 当日の様子を、参加できなかった海外の仲間にも届ける

注意しておきたいこと

  • AIの翻訳精度は言語ペアによって差があります。安全情報や法律に関わる内容は、必ずネイティブの仲間にチェックしてもらってから配布してください
  • Synthesiaの翻訳機能はCreatorプラン以上で利用可能です(2026年5月時点)。日本語から多言語への翻訳品質は、英語からの翻訳より精度が落ちるケースがあるため、英語を中継言語にする方が安定します — Source: Synthesia Pricing
  • AIの電力消費・データセンターの環境負荷については、使う動画の本数や長さで判断する必要があります。「届ける必要のある人にだけ、最小限の動画を作る」という運用が、活動家としての一つの落とし所だと考えられます — Source: [Greenpeace AI Emissions Report 2025の議論を参照]

使ったツール

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