国試の解説を、自分のアバターに講義してもらう毎日にできる

たとえば、こんな3月

薬学部6年で国家試験を終え、入社まで数ヶ月。「合格して終わり」ではなく、入社後の研修で必要になる範囲をもう一度自分のペースで復習したい時期があります。教科書を開いても、6年間の積み重ねの上にあるテキストすぎて、どこから読み直せばいいか分からなくなる。Claudeに整理してもらった「薄い領域マップ」を見ながら、ため息が出る日が続く――そんな3月があります。

こんなふうに使える

SynthesiaのPersonal Avatarを使うと、自分のWebcam撮影から作ったアバターに、苦手分野の解説を読み上げてもらえます。ChatGPTやClaudeに作らせた解説台本を、そのまま動画化できます。通勤バス、家事の合間、寝る前に「自分が自分に講義する」音声付き動画として流せます。

想像してみると

自宅の机の前で5分の同意フレーズと演技動画を撮影し、翌日にはダッシュボードに自分のアバターが並んでいて、軽くゾクッとする体験があります。Claudeに「分子標的薬の作用機序を、薬学部卒業レベルで15分で復習できるように構成して」と頼み、返ってきた構成を自分の言葉に少し書き直して、A4で4枚くらいの台本にする。

その台本をSynthesiaに流し込んで生成ボタンを押すと、10分弱で15分の動画ができあがります。自分の顔が、自分の苦手分野を解説している。通勤バスの片道40分で2倍速で2本流す。これを2週間続けると、苦手だったオンコロジーの全体像が「自分の言葉のかたまり」として見え始める手応えがあります。入社研修で「あ、知ってる」と思える領域が増えれば、最初の数ヶ月の精神的な余裕が違ってきます。

この記事でできること

  • 自分のWebcam撮影から作ったアバターに、苦手分野の解説を読み上げてもらえる
  • ChatGPTやClaudeに作らせた解説台本を、そのまま動画化できる
  • 通勤バス、家事の合間、寝る前に「自分が自分に講義する」音声付き動画として流せる

使うもの: Synthesia(Creatorプラン $79/月、Personal Avatar機能あり) + ChatGPT Plus かかる時間: Personal Avatar作成は約30分、1本の解説動画は約20分 必要なスキル: スマホかPCのカメラで自撮りできればOK

国試後に残った「ふわっと覚えている」感覚

2月の国試本番直前は、薬ゼミの音声教材を倍速で繰り返し聴く――そんな受験生は多いはずです。合格濃厚で迎えた3月、入社まで時間があるなかで気づくのは「合格点はクリアしたけど、領域によっては薄い理解で通過した範囲がある」ということ。

特にオンコロジー(がん領域)。学術職の内定先で扱う可能性が高い領域なのに、国試の問題演習以上の理解は正直浅い。教科書を開いても、6年間の積み重ねの上にあるテキストすぎて、どこから読み直せばいいか分からなくなる。Claudeに整理してもらった「薄い領域マップ」を見ながら、ため息が出る日が続く――そんな状況があります。

そこで、SynthesiaのPersonal Avatarで「自分が自分に講義する動画」が作れます。「自分の顔の講師なら、頭に入りやすいかも」という直感を試せる選択肢です。

手順:自分を講師にする

ステップ1:Webcam撮影でPersonal Avatarを作る

Synthesiaの公式情報では、Personal Avatarは「Webcamで5分の同意フレーズ+演技動画を撮影 → 24時間以内にアバター完成」と書かれています。Creatorプランでは1体まで無料で作れるので、月額$79に課金して試すパターンが現実的です(2026年5月時点)。

撮影は自宅の机の前で。明るさだけ気をつけて、指定された同意の言葉と、表情の演技用パターンを録画します。翌日には自分の顔のアバターがダッシュボードに並んでいて、軽くゾクッとする――そんな体験があります。

ステップ2:Claudeで解説台本を作る

苦手領域の解説台本は、自分で全部書くと挫折しがちです。Claudeに、持っている薬剤師国試の参考書のPDFと「分子標的薬の作用機序を、薬学部卒業レベルで15分で復習できるように構成して」と頼みます。

返ってくる構成は、章立てが整っていて、専門用語の使い方も自然です。そこから自分の言葉に少し書き直して、最終的にA4で4枚くらいの台本にする。「ここは医療現場の具体例があると入りやすいから足したい」など、薄かった部分への注釈は手で書き加えるのがおすすめです。

ステップ3:Synthesiaに台本を流し込む

スクリプトを貼り付けて、Personal Avatarを選んで、生成ボタンを押すだけ。10分弱で15分の動画ができあがります。

自分の顔が、自分の苦手分野を解説している。声は合成音声(Synthesiaの日本語音声)なので完全に自分の声ではないのですが、目線や表情、口の動きが「あ、自分こんな顔して話すんだ」と分かるくらいには自分です。

つまずきやすい:「自分の声じゃない」違和感

最初の動画を3分くらい見たところで一旦止めてしまう場面があります。アバターの動きは自分なのに、声が違う。情報は入ってくるのに、心の中で「これは自分じゃない」というノイズが鳴り続けるパターンです。

解決策は2つあります。1つめは、声を「自分に近い落ち着いた日本語女性音声」に変更すること。2つめは、最初は1.0倍速ではなく0.9倍速で再生して、「自分の声じゃないけど、自分の顔の人が落ち着いて話している」と慣れていくこと。1週間ほど続けると、違和感は薄れて、内容が頭に入るようになります。

もうひとつ、医療情報の正確性の問題。Claudeが書いた解説には、念のため一次ソースで裏取りすべき箇所がいくつかあるので、動画にする前に「PMDAの添付文書」「学会ガイドライン」で必ず確認するルールが必要です。AIに講義させているけれど、講義の中身を保証するのは自分、という線引きは忘れないようにしてください。

学び:「教えるつもりで作る」と理解が深まる

一番大きな発見は、講義動画を作る側に回ると、内容の理解度が一段深まることです。

「分子標的薬の作用機序」をClaudeに整理してもらったあと、それを自分のアバターが説明する動画として組み立てるには、一度説明の流れを噛み砕く必要があります。「ここで一度立ち止まって例を出した方がいい」「この用語は事前に定義しないと混乱する」と、視聴者(=後で見る自分)の立場で台本を読み直す。この作業が、ただ教科書を読むより圧倒的に頭に入る感覚を生みます。

通勤バスの片道40分で、自分のアバターが話す15分動画を2倍速で2本流す。これを2週間続けると、苦手だったオンコロジーの全体像が、教科書のページ単位ではなく「自分の言葉のかたまり」として見え始めます。入社研修で「あ、知ってる」と思える領域が増えれば、最初の数ヶ月の精神的な余裕が違うはずです。

次に試したい

  • 疾患領域ごとのシリーズ化: CNS(中枢神経系)、希少疾患も同じ構成で
  • 学会ガイドラインの音声化: 長文ガイドラインをClaudeで要約 → アバターが章ごとに講義
  • OB訪問の準備動画: 訪問先企業のパイプライン情報をアバターに整理してもらう

注意しておきたいこと

  • Personal Avatarの作成には、同意フレーズの音声と身分証提示が必須です。著名人・他人の顔を使ったアバター作成は禁止されています — Source: Synthesia Trust Center
  • 医療情報をAIで生成した場合、必ずPMDAの添付文書、学会ガイドラインなど一次ソースで確認してから自分用教材に組み込んでください。AIの出力をそのまま信じることは、医療従事者として絶対にしない方が良いと考えられます
  • Creatorプランの動画は月30分の枠があります(年360分換算、2026年5月時点)。長い講義動画を量産する場合は枠の管理が必要です — Source: Synthesia Pricing

使ったツール

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