亡くなった家族が好きだった曲のプレイリストをAIと一緒に作る

たとえば、こんな日

実家のキッチンで母が口ずさんでいた曲。父が運転中によくかけていた洋楽。亡くなったあと、ふとした瞬間にメロディだけが頭の中に流れて、けれど曲名が出てこない日があります。「車の中でよくかけてたあの曲」としか言葉にできないまま、その断片だけが手元に残っている日があります。

こんなふうに使える

「1980年代の洋楽、男性ボーカル、サビが明るく壮大」のような曖昧な手がかりでもChatGPTに渡せば、候補を3〜5曲ずつ挙げてもらえます。見つかった曲をSpotifyやApple Musicにまとめれば、命日や誕生日に聴くためのプレイリストが組めます。Sunoのような音楽生成AIで「故人が好きだった雰囲気」の新しい曲を作る選択肢もあります。

想像してみると

スマホに「父がドライブ中によくかけていた洋楽。1980年代。男性ボーカルで、サビが明るくて壮大な感じ。たしか『don’t stop』みたいな歌詞があった」と打ち込んでみる。返ってくるのは「Journey - Don’t Stop Believin’」「Fleetwood Mac - Don’t Stop」といった候補です。タップして再生してみる。最初の数秒で「あ、これだ」と分かる瞬間が訪れることがあれば、「違うけど雰囲気は近い」と感じることもあります。後者なら「もう少しテンポが遅くて、サビでコーラスが入る感じ」と続けて伝えれば、もう一度絞り込みが返ってきます。曖昧な記憶が、音として手元に戻ってくる時間が流れます。

この記事でできること

断片的な記憶をAIに伝えて、故人が好きだった曲のプレイリストを再現する方法を紹介します。

  • 「サビがこんな感じ」「1990年代の女性ボーカル」のような曖昧な情報でも、AIが候補を提案してくれます
  • 見つかった曲をSpotifyやApple Musicでプレイリストにまとめる手順が分かります
  • 命日や誕生日に聴くための「その人のプレイリスト」を形として残せます

使うもの: ChatGPT(無料) + Spotify または Apple Music かかる時間: 30分〜1時間 必要なスキル: なし

記憶の断片を集める

まず、思い出せる範囲で故人が好きだった曲に関する情報をメモしていきます。正確でなくてOKです。

たとえば、こんな断片を集めます。

「父がドライブ中によくかけていた洋楽。1980年代だったと思う。男性ボーカルで、サビが明るくて壮大な感じ。たしか”don’t stop”みたいな歌詞があった」

「母が台所で口ずさんでいた日本語の曲。たぶん演歌ではなくニューミュージック系。“あなた”という歌詞が印象的だった」

「祖父が好きだった軍歌か唱歌。桜に関する歌詞だった気がする」

曲名やアーティスト名が分からなくても、時代、ジャンル、雰囲気、断片的な歌詞、聴いていた場面など、なんでも手がかりになります。

AIに曲を特定してもらう

集めたメモをChatGPT(チャットジーピーティー、スマホで使える無料のAIチャット)に送ります。

亡くなった父が好きだった曲を思い出したいのですが、曲名が分かりません。
以下の手がかりから、該当しそうな曲の候補を3〜5曲ずつ挙げてください。

手がかり1:1980年代の洋楽。男性ボーカル。サビが明るく壮大。"don't stop"のような歌詞
手がかり2:ドライブ中によく聴いていた洋楽。ギターリフが印象的。たぶんロック
手がかり3:年末になると聴いていた曲。クリスマスソングではないが冬っぽい雰囲気

AIは、各手がかりに対して候補を挙げてくれます。手がかり1なら「Journey - Don’t Stop Believin’」「Fleetwood Mac - Don’t Stop」などが候補に出てくるでしょう。

候補を見て「あ、これだ!」となることもあれば、「違うけど雰囲気は近い」ということもあります。後者の場合は「もう少しテンポが遅くて、サビでコーラスが入る感じ」のように追加情報を伝えると、AIが絞り込んでくれます。

プレイリストにまとめる

曲が特定できたら、SpotifyやApple Musicでプレイリストを作ります。

Spotifyなら、アプリの「マイライブラリ」→右上の「+」ボタン→「プレイリスト」で新規作成できます。名前は「父の好きだった曲」「おじいちゃんのプレイリスト」など、自分が分かる名前をつけてください。

Spotifyには「AI Playlist」というテキストでプレイリストを自動作成する機能もありますが、2026年5月時点で日本では未提供で、米・英・加・豪・NZ・アイルランド・スウェーデンのみの対応です。日本では従来通り手動でプレイリストを作成します。

家族に聞いてみる

一人で思い出せる曲には限界があります。兄弟や親戚に「お父さんがよく聴いてた曲、覚えてない?」と聞いてみると、自分とは違う記憶が出てくることがあります。

法事や命日に家族が集まったとき、プレイリストをかけながら「この曲、お父さんが好きだったよね」と話すだけで、故人の思い出話が自然と始まります。プレイリストが会話のきっかけになるのです。

見つからなかった曲の扱い

どうしても特定できない曲もあります。それはそれで仕方がありません。「たしか車でよく流してた曲があったけど、結局分からなかった」というメモをプレイリストの説明文に残しておくのも、ひとつの方法です。分からなかったという事実自体が、記録として意味を持ちます。

あるいは、Sunoのような音楽生成AIを使って、記憶の中の雰囲気に近い曲を新たに作るという選択肢もあります。故人が好きだった「感じ」を、新しい曲として残す。少し変わったアプローチですが、追悼の形はひとつではありません。

注意点

AIに伝える情報は曲の手がかりだけで十分です。故人の詳細な個人情報を入力する必要はありません。

また、AIが提案する曲が必ずしも正解とは限りません。最終的に「この曲だった」と判断するのは、その人の記憶を持っている自分自身です。AIはあくまで候補を出すアシスタントとして使ってください。

音楽は、記憶のトリガーになる

ある曲のイントロが流れた瞬間に、その人の笑顔や声が蘇ることがあります。プレイリストは単なる曲のリストではなく、故人との記憶を呼び起こすためのスイッチです。完璧でなくていい。思い出せた曲だけでも、ひとつのプレイリストにまとめておくと、聴きたくなったときにいつでもその人に会える場所になります。